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部活動の遠征・校外活動の移動安全対策、文科省・国交省が整理 契約書類や管理職承認を徹底

部活動の遠征・校外活動の移動安全対策、文科省・国交省が整理 契約書類や管理職承認を徹底

重大事故を受け、学校や事業者に安全対策を要請

文部科学省と国土交通省は2026年6月30日、部活動の遠征や修学旅行など、学校教育等における児童生徒の移動安全対策を取りまとめました(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.1)。背景には、同年5月6日に発生した部活動遠征中の重大事故があります。対策では、移動手段の選定、管理職による事前承認、契約内容の書面確認、運転者や車両の確認、教職員等の同乗、研修などについて、学校、設置者、交通事業者に求められる対応を整理しています(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.3)。
本記事では、同対策の主な内容を学校、保護者、地域クラブ活動の運営者向けに解説します。なお、以下では、法令上の義務と、両省が安全確保のために求めている取組を区別して紹介します。具体的な様式や手続きは、学校設置者や自治体の規程も確認してください。

事故の詳細は、対策文書の公表時点で確認中

2026年5月6日、学校法人北越高等学校の男子ソフトテニス部員20人が、新潟県から福島県へ部活動の遠征に向かうマイクロバスで移動中、児童生徒に死傷者が出る重大事故が発生しました(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.4)。対策文書では、事故の発生に至る経緯について、捜査や確認が続いていると説明されています。文部科学省の調査では、学校の管理職が遠征を事前に把握できていなかったことや、引率を担当した教員がバスに同乗していなかったことなどが確認されました(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.4)。
また、学校とバス事業者は、当該バスの手配について、事前に見積書や契約書を交わしていなかったとそれぞれ回答しています(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.4)。
ただし、これらは対策文書に記載された調査結果であり、事故の原因や責任が確定したことを示すものではありません。本記事では、事故の責任追及ではなく、両省が示した再発防止策を取り上げます。

移動手段は公共交通機関などを基本に検討

教育課程内の活動で移動が必要になる場合は、原則として次のような移動手段を利用することが基本とされています(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.1)。
  • 公共交通機関
  • 貸切バス、タクシーなど
  • スクールバス
教育課程外の活動でも、特に長距離・長時間の移動が必要になる場合は、地域の実情を踏まえ、利用できる範囲で公共交通機関などを含めて移動手段を検討することが重要とされています(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.1)。自家用車やレンタカーの利用を一律に否定する内容ではありません。ただし、利用する場合は、運転者、車両、保険、契約内容、引率体制などを学校の責任で確認する必要があります(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.6)。

管理職による事前承認と保護者への連絡

学校の設置者は、設置する学校の移動安全について適切に管理・運営することが求められています。学校や交通事業者も、担当者個人に任せず、組織として安全対策を行うことが重要です(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.5)。学校の管理職は、学校における「安全管理の責任者」と位置付けられています。学校外で行う部活動を含む学校管理下の校外活動について、児童生徒の引率計画や教職員の出張を、書面等で事前に承認することが求められています(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.5)。
引率計画には、次の項目を記載します(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.5)。
  • 日程、行程
  • 引率する児童生徒の人数・氏名
  • 引率者、運転者
  • 移動手段
  • 児童生徒が乗車する車両への同乗者
  • 緊急時の対応方針、体制、連絡先
学校は、校外活動の計画を保護者に書面等で事前に連絡します。校務支援システム、コミュニケーションアプリ、メールなどのICTを使うこともできます(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.5)。

交通事業者の許可・登録と契約内容を確認

交通事業者を利用する場合、学校は、事業者が法令に基づく許可や登録を受けているか確認します(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.5)。
対象となる事業者には、次のような事業者があります。
  • 貸切バス事業者
  • タクシー事業者
  • 公共ライドシェアの実施主体
  • レンタカー事業者
  • 旅行業者
貸切バス事業者を選ぶ際は、「貸切バス事業者安全性評価認定制度」などを参考にすることも示されています(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.5)。ただし、認定の有無だけで安全確認が完了するわけではありません。
車両の種類にかかわらず、利用前に見積書や契約書などの書面で、次の内容を明確にします(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.5)。
  • 契約主体
  • 車両
  • 運行区間や行先
  • 利用人数
  • 使用目的
  • 費用
  • 運転者や同乗者
  • 緊急時の対応
関係書類は、後から契約内容を確認できるよう整理して保存します。保存期間や保存方法については、学校設置者の規程や関係法令を確認してください。

貸切バスでは運送引受書を確認

貸切バスを利用する場合、学校は事業者から運送引受書の交付を受け、記載内容を確認します(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.5)。
旅行会社を介して手配した場合は、旅行契約書面や最終旅行日程表などで、貸切バス事業者の名称や運送事業許可の有無が示されます。これらの書面を確認することで、契約内容を明確にします(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.4)。
また、乗車前には、事業用自動車であることを示す緑ナンバーなども確認します(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.4)。

レンタカーは契約関係と運転者を明確にする

レンタカーを利用する場合、原則として学校が借受人となり、レンタカー事業者と契約します。ただし、法令上の登録を受けた旅行業者や旅行業者代理業者を介して手配する場合は例外です(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.6)。
主な確認事項は次のとおりです(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.6)。
  • 契約内容を記載した貸渡証を受け取る
  • 貸渡証を利用当日に携行する
  • 実際に運転する可能性がある全員を契約上の運転者として記載する
  • マイクロバスの場合は、行先や運行区間、利用人数、使用目的などを申請する
  • 運転者を変更する場合は、事前にレンタカー事業者の承諾を得る
  • 貸渡約款を守る
レンタカー事業者以外の事業者は、法令上認められている場合を除き、学校に代わってレンタカーを手配しないこととされています。また、運転者の手配についても、法令上認められた方法かどうかを確認する必要があります(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.6)。

自家用車・レンタカーはチェックシートで確認

自家用車やレンタカーで児童生徒を引率する場合、両省の「安全管理チェックシート」を参考に、事前確認と当日確認を行います(安全管理チェックシート-p.14)。

事前確認

引率計画

  • 日程、行程を決める
  • 引率者、運転者、同乗者を確認する
  • 引率する児童生徒の人数・氏名を把握する
  • 緊急時の対応方針や連絡先を整理する
  • 管理職の書面等による承認を得る
  • 保護者に計画を事前連絡する
  • 運転者が当日運転できない場合の対応を決める(安全管理チェックシート-p.14

運転者

  • 車両に応じた有効な運転免許を確認する
  • 事故歴や交通違反歴などの懸念事項を確認する
  • 必要に応じて運転記録証明書などを活用する
  • レンタカーでは、運転する可能性のある全員が契約上の運転者になっているか確認する(安全管理チェックシート-p.14

車両・保険

  • 定期点検の実施状況を確認する
  • 有効な車検証を備えているか確認する
  • 自賠責保険に加え、任意保険の補償内容を確認する
  • 運転者や同乗者が補償対象か確認する
  • 距離、時間帯、運転者の負担を踏まえ、無理のない計画にする(安全管理チェックシート-p.14
自賠責保険への加入は法律上の義務です。資料では、これに加えて任意保険にも加入し、運転者の保険適用範囲などを確認するよう示しています(安全管理チェックシート-p.14)。

当日確認

出発前には、次の事項を確認します(安全管理チェックシート-p.15)。
  • 道路の混雑、工事、天候を踏まえ、無理のない計画か
  • 警報などにより中止すべき状況ではないか
  • 運転者に酒気、疾病、疲労、睡眠不足がないか
  • 有効な運転免許証またはマイナ免許証を携帯しているか
  • ブレーキ、タイヤ、ランプ類に異常がないか
  • エンジンオイルや冷却水に問題がないか
  • 車検証やレンタカーの貸渡証を携行しているか
  • 生徒の体調に異常がないか
  • 生徒にシートベルトの着用を指導したか
天候や道路交通状況などにより安全を確保できないおそれがある場合は、中止や経路変更を含めて判断します。計画を変更した場合は、管理職への報告も必要です(安全管理チェックシート-p.15)。

運転者の手配は学校の責任で行う

自家用車やレンタカーを利用する場合、学校は自らの責任で運転者を直接手配するか、関係法令で認められた事業者に直接依頼して契約します(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.6)。学校が手配する運転者については、次の事項を事前に確認します(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.6)。
  • 使用する車両に応じた有効な運転免許
  • 事故歴
  • 交通違反歴などの懸念事項
運転記録証明書や無事故・無違反証明書を活用する方法もあります。NASVAの適性診断を活用することも考えられます(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.7)。運転する可能性がある教職員等について、確認済みの運転者リストを作成・管理する方法もあります。その場合も、免許の有効期限や事故歴などを最新の状態に保つ必要があります(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.7)。

教職員等の同乗と研修

自動車で児童生徒を移動させる場合、発達段階を踏まえ、教職員等が同乗することが望ましいとされています。部活動では、部活動指導員や保護者などの学校関係者も含まれます(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.7)。学校は、必要な教職員等の配置計画を立て、適切に配置します(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.7)。
また、学校設置者は、管理職や引率時に運転者となる可能性のある教職員を対象に、安全管理の責任者・運転者としての安全意識に関する研修を実施することが望ましいとされています(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.7)。
管理職や教職員だけでなく、自家用車やレンタカーで生徒を引率する可能性がある保護者にも、安全に関する情報提供を行います(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.7)。

公共ライドシェアを利用する場合

公共ライドシェアは、バスやタクシーによる移動手段の確保が難しい地域で、市町村やNPO法人などが自家用車を使って提供する非営利の旅客運送です(公共ライドシェア(交通空白地 自家用有償旅客運送)の活用について-p.12)。道路運送法に基づく登録を受け、安全確保に必要な措置を講じて運行されています。学校が利用する場合は、個人に直接依頼するのではなく、登録を受けた実施主体に依頼します(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.4公共ライドシェア(交通空白地 自家用有償旅客運送)の活用について-p.12)。
資料では、次のような安全対策が示されています(公共ライドシェアの安全確保②-p.13)。
  • 第二種運転免許の保有、または第一種免許と国土交通大臣認定講習
  • 運行管理責任者などの選任
  • 点呼、アルコール検知、疲労・疾病の確認
  • 運行計画の作成
  • 車両整備
  • 任意保険への加入
利用できるかどうかや具体的な手続きは地域によって異なるため、自治体や登録された運送主体に確認してください(公共ライドシェア(交通空白地 自家用有償旅客運送)の活用について-p.12)。

地域クラブ活動にも読み替えて適用

今回の対策は、部活動の地域展開による地域クラブ活動にも、適用できる範囲で読み替えて適用されます(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.2)。
  • 学校
    → 地域クラブ活動の運営団体・実施主体
  • 学校の管理職
    → 運営団体・実施主体の責任者
  • 部活動
    → 地域クラブ活動
  • 教職員
    → スタッフ、指導者など
地域クラブ活動では、スタッフ、指導者、保護者など複数の関係者が移動に関わることがあります。運営団体の責任者は、次の事項を組織として整理しておくことが重要です。
  • 移動計画
  • 運転者・同乗者
  • 車両・保険
  • 契約内容
  • 緊急時の連絡体制
  • 参加者・保護者への事前連絡
学校と地域クラブ活動の双方が関係する場合は、誰が計画を作成し、誰が承認し、事故時にどこへ連絡するのかを事前に決めておきます。

まとめ

文科省と国交省の対策は、移動手段の選択だけでなく、計画、承認、契約、運転者確認、車両確認、当日の判断までを組織として管理するよう求めています(学校教育等に関する移動の安全確保のための対策-p.5)。
学校や地域クラブ活動の運営者は、次の点を確認しましょう。
  • 教育課程内では公共交通機関などを基本に移動手段を検討する
  • 長距離・長時間の移動では、教育課程外でも公共交通機関などを含めて検討する
  • 管理職または運営団体の責任者が計画を事前に確認する
  • 保護者に移動計画を事前に連絡する
  • 事業者の許可・登録を確認する
  • 書面で契約内容を明確にする
  • 運転者の免許、事故歴、違反歴を確認する
  • 車両の点検、車検証、保険を確認する
  • 必要に応じて教職員等を同乗させる
  • 天候や道路状況に応じて中止や経路変更を判断する
安全確保は、当日の運転だけでなく、事前の計画と書面確認、関係者の役割分担、出発前の最終確認によって支えられます。担当者任せにせず、学校や運営団体全体で継続的に管理することが重要です。
参考資料:学校教育等に関する移動の安全確保のための対策(文部科学省・国土交通省)

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